シニア・コミュニティ 2014年9・10月号・91号

【特集】認知症の人を支えるネットワーク

[特集]≪インタビュー≫
認知症の本人と家族を支え全国の“ 声にならない声”を社会に届ける。
「認知症の人と家族の会」の果たす役割は広く、そして深い。

公益社団法人 認知症の人と家族の会 東京都支部 代表 大野教子氏 そこには熱い人たちがいた。自分たちのことは自分たちでやろう。待っているだけではだめなのだ。目の前に助けを求めている人がいる。 自分たちが出来ることから始めよう。行政に、そして制度だけに寄りかからなくても出来ることがある。それらは後から付いてくるはずだ。
認知症の人たちをしっかり支える“熱い”ネットワークがある。

[特集]電話相談が始まって32 年。声の向こうから認知症介護の変化が見えてくる。

認知症の人と家族の会 「認知症の人と家族の会」の東京支部で認知症の電話相談が始まったのは1982 年7月。それから32年余り。電話相談は活動の大きな柱として、未だにボランティアスタッフにより続けられている。その記録は我が国の認知症をめぐる介護の歴史を知るうえで、貴重な資料と言えるのではないだろうか。ここに1982年と2013年を比較した資料があるが、そこには認知症の人をめぐる介護環境の変化を見ることが出来る。それはまた、私たちを取り巻く社会の変化をも見事に映し出しており、認知症の介護に関わる大きな課題が透けて見えくる。

[特集]軽やかに、認知症の人との時間を共有する。

町田市認知症友の会 印象はとにかく“軽やか”なのだ。交流を楽しんでいる。とかく感じがちな“使命感”のような重たい雰囲気はない。東京都町田市。ここに「町田市認知症友の会」というグループがある。実は、今回の企画では認知症の「家族会」を取り上げることになっていたが、イメージした家族会とは大いに違っていたのがこのグループだ。「友の会」というグループ名にその答えがあった。

[特集]私たち抜きには何も始まらない。

「特定非営利活動法人 認知症当事者の会」 小田急線町田駅に近い福祉施設のフロアーは、100 名を超える参加者の熱気であふれていた。第5回目の「認知症当事者研究」勉強会が開かれようとしている。当事者とは認知症の人そのものを指す。その当事者の視点から認知症を見つめ、そして社会を考えるための“勉強会”なのだ。主催は「認知症当事者の会」。テーマは「『認知症基本法』に望むもの~私たち抜きには何も始まらない!」である。

[特集]認知症基本法と当事者主体主義について

各国の認知症国家戦略に見る当事者主体主義の流れ 去る7月27 日に、東京・町田の社会福祉法人七五三会のデイサースセンターで開催された特定非営利活動法人「認知症当事者の会」勉強会には、若年認知症の当事者で看護師の藤田和子・若年認知症問題にとりくむ会「クローバー」代表や静岡県富士宮市の当事者グループの人々など約100 名が集まった(参照:今号14 頁)。 この「認知症当事者の会」では、認知症基本法案の創設の必要性を訴える声が大きかった。

[新医療通信]「熊谷式3段階分類」を用いた認知症ケアでBPSDを改善

京浜病院/ セントケア・ホールディング セントケア・グループは、グループホームと認知症対応型デイサービスにおいて、「熊谷式3段階分類」を活用した新しい認知症ケアを導入した。「熊谷式3段階分類」とは、認知症の周辺症状を混乱期・依存期・昼夢期の3期に分類し、それぞれの病期に適した治療と介護を行うもの。これを開発した医療法人社団京浜会理事長の熊谷賴佳氏と、セントケア・ホールディングの施設サービス担当である中村仁美氏に話を聞いた。

[経営課題]現場発 施設長の声 介護人材不足に対して求められる施策を考える

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋 全国各地の介護福祉士養成校のホームページを見ると、「就職率100%」を前面に出して入学者を募集しているところが多い。しかし事実として言えば、介護福祉士養成校は、看護師養成校やセラピスト養成校などより圧倒的に人気がなく、入学応募者が少ないことから養成校の数も減少傾向にある。このことは介護業界の人材不足の大きな要因にもつながっている。つまり就職率100%という事実は、そこに入学して介護福祉士の資格を得ようという動機づけには結びついていないと結論づけることができるだろう。

[経営課題]シリーズ・介護の扉

短期入所の目的が変わる日 家族のレスパイトが主たる目的のショートステイだが、時代の流れでそのニーズもおのずと変わってくるはず。受け入れ側の取り組みでは如何とも しがたい現状がある。8万円の自費ヘルパー請求書 認知症の母親(80 歳)を介護するAさん(50 歳)。介護度5の限度額を使っても間に合わな い状況に追い込まれている。訪問介護は全て自費。なぜそこまでのプランになっているのか。

[経営課題]弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.17 おかげさまです、外岡です!

認知症でご家族無しのご利用者の「同意」は取れる? 弁護士の外岡です。今年の夏は冷夏の噂もどこへやら、実に厳しい猛暑日が続きましたが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。今回は、倫理や人生観の問題も絡む難しいテーマ「看取り」を扱います。

[経営課題]シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!

震災の経験が下地になって (デイサービスセンターなでしこ) 東日本大震災から1 年経った2012 年4 月、宮城県岩沼市に定員10 名の小規模なデイがオープンした。「デイサービスセンターなでしこ」(特定非営利活動法人なでしこ)だ。 岩沼市の山間部に近い地に開所した「なでしこ」は、周囲を田んぼや畑に囲まれたのどかな環境。もともとは農家だったという民家を一部改築して始めた。開設者は八巻周子さんといい、震災時、津波に追われるように避難した経験がある。死に直面した経験が八巻さんに影響を与えたのは確かだ。

[連載]シリーズ・施設探訪

世田谷デイハウス イデア北烏山 NMCライフが運営する「世田谷デイハウス イデア北烏山」は、今年6月1日、閑静な住宅街が広がる世田谷区北烏山にオープンした。営業時間は 7 時から21 時まで。仕事に忙しい家族の介護負担を軽減し、デイサービス本来の目的の1つであるレスパイト機能の役割を存分に果たしている。

[連載]シリーズ・介護施設のための健康講座  今冬、大流行が懸念される新型鳥インフルエンザ

第5 回 緊急連載「高齢者の命を奪う新型鳥インフルエンザH7N9」その1 スペイン風邪の流行から100 年目にあたる今年も、ノロウイルスや鳥インフルエンザ、あるいはエボラ出血熱のような様々な感染症が世界中で猛威を振るっている。 スペイン風邪が流行し始めた1914年当時は第一次世界大戦の真っただ中にあり、病魔は集団生活を余儀なくされた若い兵士の健康を蝕み、死に追いやった。米国で生まれたH1N1型インフルエンザはヨーロッパへと感染の輪を広げ、少なくとも4千万人もの人々の命を奪った。南半球を含めると1億人もの人々が犠牲になったとの意見を述べる研究者もいる。

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税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判60ページ
発行日 2014年9月15日

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