シニア・コミュニティ 2015年11・12月号・98号

【特集】どこへ行く特別養護老人ホーム

[特集:巻頭インタビュー]福祉を「産業」と位置付けたとき そこに大きな改革への流れが見えてくる

公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長  瀬戸雅嗣氏  今年、全国老人福祉施設協議会(以下、全国老施協)が「2025年に向けたあるべき社会保障制度改革を目指して」と題するオピニオンペーパーを発表した。その背景には相次ぐ社会保障費の削減によってもたらされる、介護事業の将来に対する強い危機感がある。6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」いわゆる骨太の方針では、今後3年間で実質1兆5千億円もの社会保障費削減の方針が示された。介護だけで年間1 千5 百億円から2千億円程度の削減を余儀なくされるが、これは介護報酬2%削減が少なくとも3年間は続くと同様のインパクトであると言う。全国老施協の調査では今回の介護報酬改定によって、特別養護老人ホーム(以下、特養)は既に全国平均で約650万円の減収を余儀なくされている。まさにダブルパンチと言わなければならない。

[新医療通信]アルツハイマー病の予防に向けて 軽度認知障害を血液検査で判定

筑波大学医学医療系准教授  内田和彦氏 認知機能低下の血液バイオマーカー
 筑波大学医学医療系の内田和彦准教授らは、アミロイドβペプチドを阻害するタンパク質が認知機能低下の血液バイオマーカーになることを発見した。解析により軽度認知障害を約80%の精度で識別することに成功。軽度認知障害を早期発見できる「MCI スクリーニング検査」を実用化した。アルツハイマー病をはじめとする認知症の予防に大きな効果が期待できる。

[経営課題]現場発 施設長の声 国の介護人材確保対策は機能するのか?

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋  会期を戦後最長となる95日間延長した第189通常国会は9月27日に閉幕した。安保関連法案の審議に終始した感がある国会であったが、社会保障関係では、2018 年度から国民健康保険の運営主体を都道府県に移す医療制度改革法が成立したほか、改正医療法の成立によって、複数の医療機関や介護施設の一体的運用のため、社会福祉法人も傘下に入ることのできる「地域医療連携推進法人」を設けることが可能となった。これによってどんな影響が出るだろう。

[経営課題]シリーズ・介護の扉 居者の“ となり” には家族がいる

相談員不在?の特養で母の様子を案じる  身内が特養に入所した友人が2人いる。共に在宅介護に限界を感じての選択だ。入所先は新設ユニット型個室。最近、ラインのやりとりが頻繁になっている。85歳の母親が入所しているAさんから「トイレがいつも汚れているんだけど、どうしよう」と来た。ベッドからトイレまで2メートル余りとか。尿意や便意を感じても、個室が広すぎてトイレまで間に合っていないのかもしれないが、職員が便座の汚れを放置しているとはどういうことだろう。「新しい部屋なんだけど、臭いがきつくてねー」。床掃除も行き届いていないらしい。

[経営課題]弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.24おかげさまです、外岡です!
(付記)どうする、利用者のマイナンバー対応

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤 10月より、いよいよ「マイナンバー」(個人番号)の一斉交付が始まります。本稿執筆時点ではまだですが、本誌発行時点では大分「通知カード」も出回っているのではないでしょうか。今回はご利用者のマイナンバーについて取り上げます。

[経営課題]シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!vol.24

特養の間口を地域にひらく 特養の麻雀教室は大盛況――――――――
 とある日曜日、東京都町田市にある特別養護老人ホーム「いづみの里」(社会福祉法人七五三会)に行った。玄関を入るとロビーが見える。大勢の人が麻雀卓を囲んでいる。スリッパに履き替えている間も、「ジャラジャラ」という麻雀の牌を混ぜる音が聞こえ、一瞬ここが特別養護老人ホーム(以下、特養)であることを忘れそうになった。
 麻雀卓は全部で6卓。男女比で言えば、圧倒的に女性が多い。そのせいだろう、時折聞こえる話し声やら笑い声の華やかなこと。実に明るく楽しそうだ。

[経営課題]シリーズ・施設探訪 東中野キングス・ガーデン(東京都中野区)

専任コーディネーターを配置利用が広がる地域交流スペース 社会福祉法人キングス・ガーデン東京が今年3 月に開設した「東中野キングス・ガーデン」は、小規模多機能型居宅介護「ライフサポート」とグループホーム「シェアハウス」を併設する地域密着型サービスの複合施設。1 階の地域交流スペース「キングスカフェ」の運営が好調で、1 か月に延べ約1000 人の利用があるという。

[経営課題]仙台から「地域」を考える 追い込まれる通所介護事業所。影響が出始めた介護報酬改定。

シビアな現実に直面する介護事業者も  夏以降、通所介護事業所が閉鎖するという話を耳にすることが多くなっている。そこにはふたつのパターンが見受けられる。ひとつは「民家型の通所介護の小規模型が閉鎖する」パターンであり、もうひとつは・・・。

[日本橋介護経営塾報告]
制度にとらわれない、介護の新しい可能性を「農業」とのコラボレーションに探ってみる

ケアファームは介護に「農業」という新たな視点をもたらす  浅川氏はかねてからオランダの介護と医療に注目し、近年オランダを訪れる機会が増えている。その中で特に注目しているのが「ケアファーム」というデイサービスだ。日本語に直訳すれば「介護農場」ということになるが、果たしてどのようなケアのかたちがあり、それが介護の新潮流と言われる所以はどこにあるのか。

その他コンテンツ

[コラム]連載第37回 聖隷福祉事業団に学べ
[コラム]《老人たちの居場所》聞こえてきたぞ" 定年予備軍" の悲鳴
[World News]連載第18回 オランダの新しい介護事情を探る
[World News]連載第10回 イギリスのホームドクター、認知症ケア、ホスピスの実情を探る
[World News]
   連載第2回 寺門先生と共に行く 中国福祉視察に同行して~高齢者の介護・医療・障がい者対策~

税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2015年11月15日

ご注文・バックナンバー

◇◆◇バックナンバーはこちら→雑誌「シニア・コミュニティ」◇◆◇
ご注文用紙(雑誌)

※PDF文書の閲覧には、Adobe Readerが必要です。お持ちでない方は、ソフトウェアをダウンロードしてご覧ください。
Adobe Readerのダウンロードはこちらから→Adobeサイト