シニア・コミュニティ 2016年3・4月号・創刊100号記念

【特集】日本の介護の明日を考える

≪巻頭インタビュー≫ 医療と介護を“友好”の旗印に 国の安全保障に貢献する

国際医療福祉大学大学院教授 水巻中正氏 意志と姿勢は評価できるものの中身が伴わない「新三本の矢」――――――――
  安倍内閣は先の「三本の矢」に次いで、強い経済と子育て支援、そして社会保障の充実を目指すとする「新三本の矢」を放ったわけですが、私は全般的にその積極的な“姿勢”については評価をしています。なぜかと言えば、いま大きな流れとなっている「人口減少社会」及び「少子高齢社会」に対して何らかの手を打たなければならないという、強い意志を感じるからです。安倍首相の言葉を借りれば「未来に挑戦する内閣」となりますが、このような姿勢は国際的な観点で見ても必要とされていると思います。また、・・・・・

≪対談≫ 「これでいいのか、ニッポンの介護」

福祉ジャーナリスト 浅川澄一氏 × 株式会社舞浜倶楽部代表取締役社長 グスタフ・ストランデル氏 介護保険制度が始まって15 年あまり。日本の介護は正しい方向に進んでいるのか。そもそも「正しい方向」とは何か。北欧に追いついているのか。根本的に何が違うのか。そして進むべき道は何処にあるのか…。
介護の世界に深い洞察力を持つジャーナリストと日欧の介護を知り尽くすスウェーデン人の若き経営者が意見を闘わせ共鳴しながら、ニッポンの介護の課題と可能性を鋭く“ 斬る”。

≪新医療通信≫ 「高齢者を要介護にさせない」フレイル予防に向けた取り組み

東京大学高齢社会総合研究機構 飯島勝矢准教授 筋肉量や活動性が低下して虚弱になった状態を表す「フレイル」は、やがて高齢者を要介護状態に至らせる老年症候群の1つである。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢准教授は、きわめて多面的な要素を持つフレイルの予防に関して、高齢者の「食力」や社会参加の重要性などを訴える。国民運動論に向けて「オーラル・フレイル」という新概念も打ち出している。

[経営課題] 現場発 施設長の声 軽介護者の生活援助制限は、前々から予測できた既定路線

特別養護老人ホーム緑風園 総合施設長 菊地雅洋  厚労省が要介護1と要介護2の生活援助(訪問介護)を保険給付から外す方針を固め、2月以降の社会保障審議会で議論を進めると報道されている。しかしこの方針は十分に予測できたことである。僕は2年以上前から、「特養の入所ルール変更で、原則要介護3以上の人しか入所できなくなることは、特養関係者だけの問題ではない」と指摘しており、「特養の利用制限が前例となり、それは別サービスの利用制限へと拡大するだろう。例えば訪問介護の生活援助は、原則要介護3以上という方向性で議論がされていくことを否定できないし、特養での給付制限の前例がある以上、そのハードルは低くなったと言わざるを得ない」と指摘し続けてきた。つまり制度改正・報酬改定には・・・・・

[経営課題] シリーズ・介護の扉 哲学を持たない介護業界に明日は来るか

誰もが持つ心の闇を抑えるのが「教育」  ある日、耳に飛び込んできた「マタハラ」という語感に驚いた。マタニティ・ハラスメントは妊娠・出産を機に雇い止めや解雇など不利益を被ったりすることだと知った。ハラスメントの意味は「嫌がらせる、苦しめる、困らせる」だそうで“いじめ”の意味合いが濃いのだろう。その種類は30にものぼるらしい。代表格はセクハラ、パワハラか。他にモラル・ハラスメント、スクール・ハラスメント、ドクター・ハラスメントなどもあった。嫌がらせに満ちた世の中なのだと感じる一方で、「昔から何も変わっていない」とも思う。上司は「嫌な奴」と決まっていた。医者は偉そうで、小さなことに言いがかりをつけてくる輩はどこにでも居た。ハラスメントなる言葉が普及したことで、泣き寝入りはご免とばかり悪しき伝統に「NG」を出せる環境が整い始めたのだろう。

[経営課題] 弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.26おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤 こんにちは、外岡です。家族間の介護殺人、施設内虐待などの痛ましいニュースが全国各地で続いていますが、認知症の利用者同士の殺人事件、果ては職員が利用者に暴行されるというイレギュラーなケースも出てきています。今回はこの問題を取り上げます。

[経営課題] シリーズ・発掘 介護チャレンジャーを探せ!!vol.26

「在宅を支えきりたい」小規模多機能型居宅介護 「ぶどうの家」のスタート――――――――
 岡山県倉敷市で小規模多機能型居宅介護(以下、小規模多機能型と略)を2カ所で運営する「ぶどうの家」(三喜株式会社・津田由起子代表)。ぶどうの家の第一歩は、1996年、病院のソーシャルワーカーと介護・看護職の数名で立ち上げたミニ介護ホーム(宅老所)だ。現在は船穂地区で「小規模多機能ホームぶどうの家」「ぶどうの家グループホーム」、サービス付き高齢者住宅「ぶどうの家花帽子」、訪問介護「へるぷ花帽子」に加え、訪問看護ステーションと定期巡回・随時対応型訪問介護といったサービスと、真備地区に小規模多機能型居宅介護「ぶどうの家真備」を運営している。

[経営課題] シリーズ・施設探訪 笑恵館(東京都世田谷区)

自宅を改修して地域に開放 多世代が集まるコミュニティハウス 東京都世田谷区にある笑恵館は、老朽化した家の改修に当たってその有効利用を考えた田名夢子氏が、起業支援家の松村拓也氏と出会って開設した。誰もが気軽に利用できる場所にしようと、食堂やデッキ付近は出入り自由。パン工房には買い物客が訪れる。ミニデイサービスや子育てサロンのほか、笑恵館クラブ会員が主催するイベントも開催されている。

[日本橋介護経営塾報告] 進化を遂げつつあるサ高住 日本版CCRCに介護のトレンドを探る

いま、全国から注目されているユニークな複合型集合住宅  現在、『日本版CCRC』に関連する動きは全国12の地域や施設、民間企業、大学等で見ることが出来る。その中で浅川氏は2つの施設に注目をした。いずれも霞が関からお墨付きをもらっているサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を核とした新しい形の複合型集合住宅である。今や全国から見学者が引きも切らない、石川県金沢市にある「シェア金沢」と栃木県那須町「ゆいまーる那須」を紹介する。

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   《仙台から「地域」を考える》「支えられる人」も「支える人」も 共に生きていける環境であり社会でありたいと思う

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   連載第3回 寺門先生と共に行く 中国福祉視察に同行して~高齢者の介護・医療・障がい者対策~

税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2016年3月15日

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