シニア・コミュニティ 2017年1・2月号・105号

【特集】社会福祉法改正の課題と影響

≪インタビュー≫ 分岐点に立つ社会福祉法人 その原点に戻れるのか、戻れないのか
                      -いま社会福祉法人が問われているものは-

淑徳大学教授 結城康博 氏 今回の法改正が社会福祉法人に突き付けたものは何か。ガバナンスであれ透明性であれ、はたまた地域貢献であれ、いずれも本来社会福祉法人に課せられた最低限のミッションであったはずである。つまり、問われているのはこれまでの社会福祉法人の在り方ではないのか。淑徳大学教授の結城康博氏は社会福祉法人そのものの在り方にこそ問題が潜んでおり、今回の改正を引き込んだと指摘する。まさに「分岐点」に立つ社会福祉法人の行く末を聞く。

≪インタビュー≫ 生き残るのは、弱者に寄り添って地域の信頼を得る社会福祉法人

社会福祉法人マザアス理事長 東京都社会福祉法人協議会副会長 高原敏夫 氏 社会福祉法人は今回の法改正をどの様に受け止め、どのように対応しょうとしているのだろうか。この荒波を乗り越えることが出来るかどうかは、すべて社会福祉法人の取り組みにある。改革に失敗すると「あとが無い」と危機感を募らせる社会福祉法人マザアス理事長高原敏夫氏に、今回の法改正の背景、社会福祉法人の行く末等について聞いた。

 外岡潤弁護士セミナー「もう一度見直しておきたい、社会福祉法改正に伴うリスクと規定」から

大競争時代を生き伸びるために押さえておきたい3つのポイント 年が明けて、新しい社会福祉法の施行が目前となった。昨年に法改正の方向が決まってからわずか1年。法人によってその受け止め方は違うにせよ、改めて社会福祉法人(以下、社福)の在り方が厳しく問われていることに変わりはない。果たして、全ての社福が万全の態勢でX デイを迎えることが出来るのか。確認すべき事項に抜かりはないか。本誌の前号で法改正に伴う「理事会と評議員会の関係」を中心にリスクを指摘した外岡潤弁護士だが、今回は直前対策として改めて“ 見直し” を促す。まさに、待ったなしである。社福の為に特別に開催された「外岡潤弁護士セミナー」から、そのポイントを抜粋して報告する。

 地域貢献の先進事例を特別養護老人ホーム・カメリアに見る

事業計画に落とし込むことで継続的な地域貢献が可能となる  今回の法改正に当たって、社会福祉法人(以下、社福)の多くがもっとも対応に苦慮しているのは「地域における公益的な取組を実施する責務」であると言う。継続的な「地域貢献」が求められているわけだが、対応が遅れているのが現状ではないだろうか。
 先進事例を求めて社会福祉法人カメリア会理事の高橋利明氏を特別養護老人ホーム・カメリアに訪ねた。間近に東京スカイツリーを仰ぎ、公園を懐に抱くように建つ3つの施設の中心にカメリアはある。そこには地域貢献の“ヒント”があった。

[経営課題] 介護福祉道場あかい花発 masaの声 社会福祉法人関係者は法改正に鈍感すぎないか

菊地雅洋 北海道介護福祉道場あかい花 代表  改正社会福祉法は、社会福祉法人(以下、社福)にも、公益財団法人と同等以上の公益性の確保を求めている。そのことはガバナンスの強化策として示されており、従前まで介護保険事業のみしか行っていない法人に設置義務がなかった評議員会を、全ての社福に議決機関として設置することが義務付けられた。現在まで評議員会が設置されていない法人は、評議員を29年3月31日までに選任しなければならない。現在評議員会があって、任期が29年4月1日以降も残っている場合でも、改正社会福祉法附則第9条第3項の規定によって、従前からの評議員の任期は、平成29年3月31日において満了するとされているので、新たに規定された方法で選任し直さねばならない。この際、・・・

[経営課題] シリーズ・介護の扉 突然の脱おむつ宣言が意味するもの

ミスに落ち込む親を見て憂鬱になる娘  友人から相談を受けた。彼女の母親は特養に入居している。「面会の帰りにスタッフが話しかけてきてね。リハビリパンツから普通の下着に替えることになったから、名前を書いた布パンツを持ってきてくれって言うの。どういうことかと思ったら、『当施設では、ここに来る前の暮らしと同じように過ごしていただく方針なので』って」。
 母上が新設のユニット型に入居したのは3 年前。「入居時からリハビリパンツとパッドで生活してきたのに、今になって、家と同じような暮らしってどういうことなんだろうね。どうすればいいかな?」。とりあえず「断るように」と返事をした。

[経営課題] シリーズ・小島美里と日本の介護を考える

拡がる格差社会低 年金でも使える介護保険に  2017年が明けた。昨年をあらわす文字に「驚」をあげた人がいたが、アメリカ大統領にまさかのトランプがなったのを象徴するのだろう。その続きの今年はどうなるのだろうか。世界が未知の領域に入ったようだ。それも決して明るい方向ではないから気持ちが重い。だれもが内向きになって、異質なものを排除しあう。そんな風潮は結局だれも幸せにせず、排除した人が容易に排除される側に入れかわり、社会を暗くしていく。本年も、福祉・介護に携わるものとして、誰よりも強くこの風潮にNO!を唱え続けたい。

[経営課題] 弁護士直伝! 介護トラブル解決塾Vol.30おかげさまです、外岡です!

介護・福祉系法律事務所「おかげさま」代表 外岡潤 こんにちは、外岡です。あっという間に年末ですが、今年はどんな一年でしたでしょうか。最近訪問系のサービスで、職員の独立絡みの相談を多く受けます。訪問介護等の場合、ご利用者は会社ではなく担当スタッフに付くため、どうしても利用者を「とった、とられた」の問題になりやすいのです。今回は筆者も知らなかった意外な裁判例をご紹介します。

[経営課題] 特別篇・オランダの新しい介護事情を探る

ケアファーム「農福連携」ツアー 今号では、2016 年10 月31日~11月6 日まで行われた弊社企画のオランダ・ケアファーム「農福連携」ツアー(研修企画:㈱トラベルパートナーズ)のルポを特別に掲載する。
福祉ジャーナリストの浅川澄一氏(元日経新聞新聞社編集委員)と共に、我々がオランダのケアファームを訪問したのは2012年10月23日、ユトレヒト近郊ナイケルク市の認知症専門のデイ農家「ゾルフ・バウテンランド」が最初であった。
次にアムステルダム近郊の「アムステルティン」(経営者はヤン・シャイク氏ら夫婦2 人で経営)を訪問。そこではブドウ畑でワインを製造・販売していたが、大手介護事業所(NPO) の「ブベィヒング3.0(Beweging3.0)という組織にも所属しており、4 人の介護職員が対応していたことに興味を持った。認知症になっても普通の生活を営む上で日本でも役にたつのではないかと考え、本格的にケアファームツアーを企画。そして今回は特別に日本の「農福連携」関係の方々とのツアーが実現した。

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税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2017年1月15日

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