シニア・コミュニティ 2017年3・4月号・106号

【特集】介護保険制度・報酬改定の動きを探る

〚巻頭 TOPインタビュー〛 公益社団法人日本介護福祉士会 会長 石本淳也 氏
 ■ 大きな役割担う介護福祉士ライセンスの価値を高めて新しい地域づくりに貢献する

唯一の介護福祉士の職能団体である「日本介護福祉士会」に、歴代最年少の会長が誕生した。
45歳の若きパワーが介護福祉士はもとより、日本の福祉と介護の未来を切り開こうとしている。「介護福祉士は介護士ではない、福祉士」だと言い切る石本淳也新会長に、介護福祉士の現状と課題、大きな可能性への道を聞いた。

〚特集・インタビュー〛 東京財団 研究員兼政策プロデユーサー 三原岳 氏
 ■ 「自己選択」を軸とし 住民参加を原理原則とする介護保険の行方

介護保険制度及び介護報酬の改定が1年後に迫っている。ことに報酬に関して厳しい改定が予測されているが、ここでは改定についての中身について“推理”するものではない。そもそも介護保険の原理原則とは何か、改定の課題は何処にあるのか。シンクタンクに身を置き、医療と介護の現状と課題を追い続ける東京財団の研究員・三原岳氏に介護保険の原理原則、その行方について聞く。

〚特集・介護保険制度・報酬改定の動きを探る〛 北海道介護福祉道場 あかい花 代表 菊地 雅洋
 ■ 地域包括ケアシステムの深化を目的とした法改正のもたらすもの

 ◎検証作業が欠かせない高額所得者の負担増 地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案が、2月7日に閣議決定された。その中で、約200 億円の財源抑制効果があると見込まれる、現役並み所得者の3 割負担の導入と高額サービス費の上限引き上げが示されている。
もともと社会保障には「社会の財の再分配」という意味があり、高額所得者とそうではない人の負担額が違うのは無差別平等の理念に反するものではない。むしろ・・・

〚われらがHOPEを探せ!〛 ■ 精神疾患の利用者に寄り添う

 ◎アリスの夢・訪問看護ステーション 介護の現場で奮闘する職員やチームにスポットを当てる新シリーズ「われらがHOPEを探せ!」。とかく制度の行方にばかり関心が向く介護だが、実はその制度をしっかりと支えているのが他ならぬ「現場」であることを、我々は忘れてはならない。真摯に利用者、家族に向き合うことからすべてが始まることを、彼らの一人ひとりが教えてくれるからだ。
第1回は所沢市小手指で地域に深く根ざして高齢者だけではなく精神疾患の利用者をも精力的に支える「アリスの夢・訪問看護ステーション」にフォーカスする。とにかく明るいのだ。一人ひとりの個性が光る。HOPEを見つけた。

〚TREND REPORT 介護・福祉関連企業に見る新潮流〛
 ■ 「自立支援介護」の視点から排泄ケアを考える

 ◎白十字株式会社 営業本部ヘルスケア営業部広域営業課 課長代理 柴野壮史 介護といえば「排泄」を連想させるが、果たして正しい知識をもってケアに当たっているのだろうか。水分を取ることの意味、運動が排泄に及ぼす影響など、自立するうえで排泄が大きく関係していることを、もう一度考えてみたい。紙おむつメーカーが「自立支援介護」の視点から排泄ケアを考える理由について、白十字株式会社の柴野壮史氏が報告する。

弁護士直伝!介護トラブル解決塾Vol.31おかげさまです、外岡です!

 Q.非常口は施錠してよい?  こんにちは、外岡です。年が明けたと思いきや、「行く、逃げる、去る」の言葉どおり、あっという間に春を迎えそうな今日この頃です。皆さんは処遇改善加算(新加算Ⅰ)の申請手続きに追われている頃でしょうか。来年4月の介護保険制度大改正に向けて政府の議論・動向が気になるところですが、ともかくも現場では相変わらず事故が起きています。今回は施設の「非常口」にフォーカスします。

社会貢献・地域貢献の先進事例を認定NPO法人「たんぽぽ」のソーシャルファーム事業に見る
 ■ 「命」を見つめる目線の先にあるもの

 ◎障がい者、高齢者等に雇用機会を提供するソーシャルファーム 社会福祉法の改正によって、社会福祉法人に対しては一層の「社会貢献」が求められることとなった。しかし、ひと口に社会貢献といっても、法人によって受け止め方は様々であろう。4月の改正を前に未だに戸惑いを隠せない法人も多いと聞く。今こそ、埼玉県飯能市で数多くの介護事業を展開する認定NPO法人『ぬくもり福祉会 たんぽぽ』に注目したい。
地域住民の助け合い、支え合いを基本とする「困ったときはお互いさま」という法人の理念が『ソーシャルファーム』の理念と出会い、介護事業の枠を超えた社会貢献に取り組んでいる。果たしてソーシャルファームとは何か。その活動の一端を通して、改めて介護事業者における社会貢献の有り方について考えてみたい。

[小島美里と日本の介護を考える] 共生型サービスは高齢者と障害者の支援統合の始まり

だいたいこの国の人々は我慢強すぎる。昨年ケアマネジャーの集まりで、「孫に借金財政残すなら、私は野たれ死んでもよい」と発言した人がいたのには心底驚いた。シロウトではない。専門職ケアマネですよ。若者たちは「私たちが年とったときには年金なんてない」と当たり前のように言う。「そうじゃないでしょ、憲法に保障された人権を守るのは国の責務でしょ。年金も介護も、ちゃんとした仕組みにしてほしいと働きかけようよ」と話すと、ビックリされてしまう。みんな、権利意識というものを失ってしまったのだろうか。

[介護の扉] ルーティーン化が尊厳を侵す

-リハビリパンツに排泄したことがあるだろうか。介護者は「履くだけで恥しい」ことを理解しているのだろうか。-  ◎年齢を重ねると気になった「下の世話」 『介護』という言葉が一般的ではなかった時代、年寄りの合言葉のように使われたのが「下の世話をされるようになったらオシマイ」である。ホームヘルパーが存在しない頃だから、世話をするのは”嫁”だろう。元気だった祖母も「確かに、オシマイよ」と苦笑いしていた。
 幼い頃、オシマイの理由は「恥ずかしさ」にあると思っていた。それが、みずからの尊厳に関わる事態だと知るのは、祖父の入院がきっかけだ。今から35 年ほど前・・・

その他コンテンツ

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[コラム]編集人のひとりごと
税込価格 1,100円(税抜価格1,000円)
体裁 A4変形判56ページ
発行日 2017年3月15日

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