シニア・コミュニティ 2020年最終号
【特集】新型コロナウイルスに向き合って
◆ 浅川澄一 ◇コロナ騒動への「誤解」
◆ 柴田範子 ◇新型コロナウイルス感染症のリスクと向き合って
◆ 東畠弘子 ◇日本の介護・福祉用具サービスを振り返る
◆ 小島美里 ◇新型コロナ禍の今、これから
◆ 菊地雅洋 ◇コロナ禍に翻弄された介護業界の現状と課題
◆ 外岡 潤 ◇弁護士直伝! 介護トラブル解決塾
◆ 藤ヶ谷明子 ◇その鳴き声を聞き逃してはならない
◆ 中山賢介 ◇こんな国のこんな国民で終わるのは悲しい
◆ 遠藤正巳 ◇母と新型コロナウイルス感染症
◆ 佐々木炎 ◇ポスト新型コロナウイルスのケア社会を目指して
◆ 中村浩士 ◇今だからこそ問われる社福の役割
◆ 佐々木愛 ◇実践を通して生まれる、新しい言葉とは
◆ 松井直樹 ◇新型コロナウイルス以後の社会を考える
◆ 柴田範子 ◇新型コロナウイルス感染症のリスクと向き合って
◆ 東畠弘子 ◇日本の介護・福祉用具サービスを振り返る
◆ 小島美里 ◇新型コロナ禍の今、これから
◆ 菊地雅洋 ◇コロナ禍に翻弄された介護業界の現状と課題
◆ 外岡 潤 ◇弁護士直伝! 介護トラブル解決塾
◆ 藤ヶ谷明子 ◇その鳴き声を聞き逃してはならない
◆ 中山賢介 ◇こんな国のこんな国民で終わるのは悲しい
◆ 遠藤正巳 ◇母と新型コロナウイルス感染症
◆ 佐々木炎 ◇ポスト新型コロナウイルスのケア社会を目指して
◆ 中村浩士 ◇今だからこそ問われる社福の役割
◆ 佐々木愛 ◇実践を通して生まれる、新しい言葉とは
◆ 松井直樹 ◇新型コロナウイルス以後の社会を考える
【特集】新型コロナウイルスに向き合って
新型コロナウイルスのパンデミックが世界を変えようとしている。いや、変わらざるを得ないといった方が正確かもしれない。
当初混乱したように見えたテレワークも「働き方」を大きく変えるだろう。「3蜜禁止」は人と人とのかかわり方を見直すきっかけとなるかもしれない。コロナ以前、人間関係は「蜜」であることが良しとされたが…。家族とは何か、パートナーとはどうあるべきかを見直すきっかけにもなった。「コロナ離婚」などということも話題になっているが、家族とはいえ「程よい距離感」の必要性を再認識させれられた人も多いに違いない。
今年1月には思いもよらなかった感染症によるこの騒動は、リトマス試験紙の様にさまざまな問題を浮かび上がらせた。国のトップのリーダーシップはどうあるべきか。果たして国の医療体制は大丈夫か。何事も経済優先で突き進んできたことが大きなリスクを増大させているのではないか。グローバル社会も突き詰めれば経済が優先していることは言うまでもない。安い労働力を求めて世界中に張り巡らされたサプライチェーンは機能不全に陥った。今後はますます「我が国ファースト」が幅を利かせるのだろうか。100年前の「スペイン風邪」は第1次世界大戦の終結を早めた一方で、第2次世界大戦の種を蒔くきっかけになったとも言われている。今、アメリカと中国の対立が激しさを増している。「歴史は繰り返す」にならないことを祈るばかりだ。
今回、改めて浮き彫りになったのが福祉現場に対する世間の関心の〝薄さ?ではなかったか。医療崩壊が懸念される中で一部に偏見があったにしろ、メディアを含めて医療現場で働く医師、看護師、職員等に対する関心が非常に大きかったことと比べると、障がい者、高齢者ともに介護現場に対する思いの〝軽さ?が気になった。命に向き合っている意味ではともに「重い」「軽い」はないはずだが。「蜜」を問題にするならば、介護現場ほど密な現場は他にはないであろう。しかも、職員が日々対応するのは感染リスクが高い高齢者である。フランスでは新型コロナウイルスによる死者の半数近くが高齢者施設の入居者であったが、日本でかろうじて抑えられたのは「ラッキー」と言うほかない。もちろん、訪問や通所を含めた現場の「踏ん張り」に負うところも大であろう。不十分な支援の中で。
今後、2次・3次の感染が懸念されるとはいえ、これを機会に社会は大きく変わっていくと言われている。そんな中で果たして日本の福祉は何処に向かうのだろうか。介護を取り巻く環境は変わるだろうか。リスクを恐れるあまり「人手不足」に拍車がかかることが懸念されるが、介護業界からの声があまり聞こえてこないのはどうしたことか。
新型コロナウイルスは期せずして「命と向き合う」機会を与えてくれたとも言えよう。昨日まで元気だと思われていた人がわずかの時間であっさりと死んでいく現実。理不尽であると同時に命の「儚さ」をも感じさせられたこの数か月であった。
介護の現場で何があったのか。何を感じたのか。今後の日本の福祉、介護は如何にあるべきか。最前線で向き合う中で見えてきたものを共有することで明日への一歩が見えてくるに違いない。
当初混乱したように見えたテレワークも「働き方」を大きく変えるだろう。「3蜜禁止」は人と人とのかかわり方を見直すきっかけとなるかもしれない。コロナ以前、人間関係は「蜜」であることが良しとされたが…。家族とは何か、パートナーとはどうあるべきかを見直すきっかけにもなった。「コロナ離婚」などということも話題になっているが、家族とはいえ「程よい距離感」の必要性を再認識させれられた人も多いに違いない。
今年1月には思いもよらなかった感染症によるこの騒動は、リトマス試験紙の様にさまざまな問題を浮かび上がらせた。国のトップのリーダーシップはどうあるべきか。果たして国の医療体制は大丈夫か。何事も経済優先で突き進んできたことが大きなリスクを増大させているのではないか。グローバル社会も突き詰めれば経済が優先していることは言うまでもない。安い労働力を求めて世界中に張り巡らされたサプライチェーンは機能不全に陥った。今後はますます「我が国ファースト」が幅を利かせるのだろうか。100年前の「スペイン風邪」は第1次世界大戦の終結を早めた一方で、第2次世界大戦の種を蒔くきっかけになったとも言われている。今、アメリカと中国の対立が激しさを増している。「歴史は繰り返す」にならないことを祈るばかりだ。
今回、改めて浮き彫りになったのが福祉現場に対する世間の関心の〝薄さ?ではなかったか。医療崩壊が懸念される中で一部に偏見があったにしろ、メディアを含めて医療現場で働く医師、看護師、職員等に対する関心が非常に大きかったことと比べると、障がい者、高齢者ともに介護現場に対する思いの〝軽さ?が気になった。命に向き合っている意味ではともに「重い」「軽い」はないはずだが。「蜜」を問題にするならば、介護現場ほど密な現場は他にはないであろう。しかも、職員が日々対応するのは感染リスクが高い高齢者である。フランスでは新型コロナウイルスによる死者の半数近くが高齢者施設の入居者であったが、日本でかろうじて抑えられたのは「ラッキー」と言うほかない。もちろん、訪問や通所を含めた現場の「踏ん張り」に負うところも大であろう。不十分な支援の中で。
今後、2次・3次の感染が懸念されるとはいえ、これを機会に社会は大きく変わっていくと言われている。そんな中で果たして日本の福祉は何処に向かうのだろうか。介護を取り巻く環境は変わるだろうか。リスクを恐れるあまり「人手不足」に拍車がかかることが懸念されるが、介護業界からの声があまり聞こえてこないのはどうしたことか。
新型コロナウイルスは期せずして「命と向き合う」機会を与えてくれたとも言えよう。昨日まで元気だと思われていた人がわずかの時間であっさりと死んでいく現実。理不尽であると同時に命の「儚さ」をも感じさせられたこの数か月であった。
介護の現場で何があったのか。何を感じたのか。今後の日本の福祉、介護は如何にあるべきか。最前線で向き合う中で見えてきたものを共有することで明日への一歩が見えてくるに違いない。
税込価格 | 1,100円(税抜価格1,000円) |
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体裁 | A4変形判56ページ |
発行日 | 2020年6月30日 |
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